その他の原因による不眠症の症状、原因と治療【医師監修】

病気を調べる 2017年04月21日(金)

その他の原因による不眠症の症状、原因と治療【医師監修】

精神生理性不眠症とは

主な睡眠障害には、いわゆる不眠症をはじめ、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグズ症候群、周期性四肢運動障害、ナルコレプシー(中枢性過眠症)、レム睡眠行動障害、概日リズム睡眠障害などがありますが、その他の原因による不眠症のひとつに精神生理性不眠症(Psychophysiological Insomnia ; PPI)というものがあります。

精神生理性不眠症とは、眠れない毎日を繰り返すうちに、不眠への恐怖そのものによって不眠がますます悪くなるという悪循環に陥った状態をいいます。わかりやすくいえば慢性の不眠症であり、不眠以外に精神的もしくは内科・外科的な要因、あるいは環境的な問題がないような、心理的・生理的な不眠症であると考えられます。

精神生理性不眠症の症状

環境の変化や悩みごとなど、何かのきっかけで寝つきが悪くなることがあると、それ以来「また眠れないのではないか」という不安や緊張がつきまとい、「早く寝なくてはいけない」と意識しすぎるため、かえって緊張が高まって寝つきが悪くなるという悪循環に陥ります。このときには、筋肉の緊張や血管の収縮が増すなど、身体面での緊張も増大しています。
精神生理性不眠症の方は、眠ることを意識しすぎてしまっているという特徴があります。したがって、寝る前の歯みがきや部屋の明かりを消すことなど、睡眠にまつわる行動をとると眠気がなくなってしまうようなことがみられます。
逆に眠ることを意識しない場面、例えば、本来寝る場所ではない居間などでTVを観たり本を読んだりしているときに眠り込んでしまい、布団に入って寝るよりもかえってよく眠れることがあります。

精神生理性不眠症の原因

不眠が続くことで、寝る前に心理的に不安になり、布団の中で生理的な緊張が高まることで、さらに不眠が悪化するという悪循環が、精神生理性不眠症のメカニズムです。不眠が続く原因として、不安の強い性格、誤った睡眠習慣などが挙げられます。

精神生理性不眠症は、ふだんから寝つきが悪いなど、不眠になりがちな傾向を自覚している方に多くみられ、日中の生活でのストレスや身体的な病気などをきっかけに発症します。また、例えば、次の日に早く起きなければいけない、絶対に遅刻は許されないというプレッシャーがかかるような状況があると、早く眠りたいと強く意識する条件になります。そのように、一時的に眠れない夜が続くというのは誰もが経験することです。しかし、健康に不安がある方やもともと神経質で完璧主義の方、あるいは睡眠について正しい知識がなく、間違った睡眠習慣が身についているような場合には、不眠のきっかけとなった原因がなくなった後も不眠の症状だけが残りやすくなります。

精神生理性不眠症の対策・治療

薬を使わない治療

不眠に対する不安や緊張を軽減するため、まず認知行動療法と呼ばれる精神療法を行い、睡眠習慣の見直しを指導します。精神生理性不眠症に有効とされている治療法には、睡眠衛生教育、睡眠時間制限法、刺激調整法(睡眠スケジュール法)、リラクゼーション法などがあり、これらを組み合わせたものをCBT-I(Cognitive behavior Therapy for Insomnia ; 不眠症に対する認知行動療法)と呼んでいます。

• 睡眠時間制限法・刺激調整法(睡眠スケジュール法)

眠くなってから床につくこと、起きる時刻を一定にすることが基本となります。布団に入る時間ではなく、布団から出る時間を一定にすることがポイントです。目が覚めたらいつまでも布団の中で過ごさず、起きて太陽の光を浴びることが大切です。夜に眠気が出てくる時間は、朝太陽の光を浴びた時間によって決定されることが知られています。
布団に入っている時間が必要以上に長すぎることが、布団の中での生理的な緊張を生み、不眠の原因になると考えられています。治療では、実際に寝ている時間が布団に入っている時間のうち85%以上になるように睡眠のスケジュールを設定します。

• リラクゼーション法

不必要で過剰な緊張が低下するように身体の筋群を緩める
自立訓練法や自律神経に直接働きかけ、過度の緊張を解きほぐすように身体の筋肉をゆるめる方法で、自立訓練法や漸進的筋弛緩法など、いくつかのやり方があります。夜、寝る直前まで仕事をしている方や、心配事がある場合には就寝前のリラクゼーションが効果的であるといわれています。先に述べた睡眠スケジュール法をきちんと守ることが難しい場合には、リラクゼーション法だけでも十分に効果があり、CBT-Iの中でもっとも効果の出やすい方法であるともいわれています。最近では、動画でリラクゼーション法が紹介されているます。

自立訓練法:注意を集中することやさまざまな自己暗示の方法によって全身の緊張を解きほぐし、心身の状態を自分で調整できるようにする方法です。私たちは通常、リラックスしているときには手足を重く温かく感じています。手足の重みを意識したり、温かくなっている感じを順番にイメージすることで、実際に心身がリラックスした状態を引き出せるようにトレーニングします。

漸進的筋弛緩法:筋肉の緊張状態を自覚して、その緊張をコントロールする方法を身につけます。まず意識的に筋肉を収縮させ、次にゆるめるということを繰り返し、筋緊張が解除されるときの感覚をつかみます。全身の筋肉をゆるめることによって、睡眠の妨げとなる筋緊張を和らげます。

薬物治療

特に不安が強い方や睡眠の質が低下している方には、薬物療法が有効なケースも少なくありません。適切に薬物を用いることで不安が軽減し、睡眠をよくすることが期待できます。たとえば、夕方から抗不安剤を服用し、さらに寝る前に睡眠薬(睡眠誘導剤)を追加で使うこともあります。しかしその場合にも、認知行動療法と組み合わせることで薬物の使用を必要最低限に抑えることを考えます。

監修:新橋スリープ・メンタルクリニック 院長  佐藤 幹 先生

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