周期性四肢運動障害の症状、原因と治療【医師監修】

病気を調べる 2017年04月21日(金)

周期性四肢運動障害の症状、原因と治療【医師監修】

周期性四肢運動障害(PLMD)とは

周期性四肢運動障害(Periodic Limb Movement Disorder; PLMD)は、睡眠中に足がピクピク動くなどの異常な動作が周期的に繰り返される病気です。レストレスレッグズ症候群(RLS)とともに睡眠関連運動障害という診断カテゴリーに属する病気の一種です。RLSは感覚の異常であり、PLMDは運動症状であると言えます。
PMLDが発生する根本的な原因はまだ明らかになっていませんが、PLMDはRLSに高率に合併し、両者ともドパミン作動性薬剤が効果的であることから、ドパミン神経機能障害という共通の病態生理や発現のメカニズムがあるのではないかと考えられています。一方で、RLSにPLMDを伴わないケースもありその理由は明らかになっていません。また、発現の機序については、大脳皮質下または脊髄、脳幹網様体に起源があると考えられています。

睡眠中の周期性四肢運動(Periodic Limb Movement in Sleep; PLMS)そのものは、特に不眠の訴えがない健康な方にもしばしばみられる生理的な現象です。不眠を訴える患者さんに終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行い、PLMSが一定以上の頻度で現れることが確認できた場合にのみ、睡眠障害のひとつとして認められます。PLMSにより、睡眠が障害されているもしくは、日中の生活に支障を来しているものをPLMDと呼んでいます。

PLMDは年齢が高いほど発症する割合が高く、30~50歳では5%、50~65歳では30%、65歳以上では45%にみられるというデータがあります。レストレスレッグズ症候群(RLS)と診断された患者さんを調べたところ、8〜9割の方に1時間あたり5回以上のPLMSが認められたとされています。また、レム睡眠行動障害や睡眠時無呼吸症候群(SAS)にPLMSが合併する例もみられます。注1)また、血圧の上昇や循環器系疾患のリスクになることも報告されています。

周期性四肢運動障害の症状

PLMDでよく見られる症状として以下のものが挙げられます。

  • つま先や足首が足の甲の側にピクピクと動く(背屈)
  • ひざ蹴りをするような動作をする(膝関節の屈曲)
  • ひじをすばやく曲げ伸ばす動作をする

中でも多くみられるのは、0.5〜5秒ほど続く足首や足指の背屈、膝関節の屈曲などで、典型的なケースでは20〜40秒の間隔で繰り返し起こります。

このような異常な動作は本人の意思とは無関係に生じる不随意運動であり、本人が自覚していない場合も少なくありません。しかし、睡眠中にたびたび繰り返されるため眠りが浅くなり、途中で目が覚めてしまうなど睡眠の質を低下させます。その結果、朝起きたときに疲れが残って日中に眠気が生じたり、集中力や作業効率が低下することになります。

PLMDを診断するためには、医療機関で終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)という泊りがけの検査を行い、睡眠中の周期性四肢運動(PLMS)の発生を記録します。1時間当たりのPLMSの回数が成人で15回以上、小児で5回以上確認されていることが必須条件となります。PSGでは筋電図によって筋活動を記録するほか、ビデオカメラで撮影した映像も診断の参考としています。

加えて、PLMSによる睡眠や日常生活への影響がどの程度なのかということも重要です。臨床的にみて睡眠が妨げられていることや、日中の生活に支障をきたすような悪影響が認められない場合は、PLMDとは診断されません。また、他の睡眠障害や神経・精神疾患による影響が否定されることも必須条件です。

周期性(Periodic)といっても、四肢の異常な動作は一晩中コンスタントに続くわけではありません。眠っている時間全体のうち前半から半ばごろに生じやすく、明け方に近づくと症状は軽減します。睡眠には数段階の深さがあり、本来であれば入眠直後の3時間は深い眠りが得られる時間帯です。しかし、このときに異常な動作が現れると手足の動きによって脳が起きているような状態になり、深い睡眠に移行することが難しくなってしまいます。

周期性四肢運動障害の原因

PMLDの根本的な原因はまだ明らかになっていません。RLSと同様、抹消、脊髄、中枢と複数の部位や神経系統が関わっていて、単純な病態生理で説明するのは難しいと考えられていますが、脊髄での興奮性の増強、興奮を抑制できないことが原因の一つと考えられます。脊髄背屈反射はA11ドパミン神経系の機能不全により反射を抑制できないことが関与しているのではないかと仮定されています。

周期性四肢運動障害の対策・治療

【薬を使わない治療】

  • 鉄分不足の解消

ドパミン合成やドパミン受容体に鉄が関与することが知られています。PLMDの原因ははっきりしていませんが、中枢神経における鉄欠乏がドパミン神経系の機能不全を引き起こしていると考えられています。(鉄—ドパミン仮説)血液検査で鉄分の不足が認められる場合には鉄剤を服用し、鉄分を多く含む食品やサプリメントを摂取します。

  • カフェインの摂取を控える

症状の現れ方には波があり、疲れているときやカフェインを多く摂ったときに症状が現れやすいともいわれています。カフェインは鉄分の吸収を妨げ、中途覚醒の原因となります。少なくとも寝る4時間前からはコーヒー・紅茶・緑茶などカフェインを多く含む飲み物を控えたほうがよいといえます。

【薬物治療】

  • ドパミン受容体作動薬(パーキンソン病治療薬)

レストレスレッグズ症候群(RLS)に合併したPLMSに対して、ドパミンアゴニストと呼ばれるドパミン受容体作動薬のひとつであるプラミペキソールを投与すると、PLMSの回数が減少したという報告があります。

  • 抗てんかん薬

ドパミン受容体作動薬プラミペキソールの服用で効果がみられないときは、抗てんかん薬のクロナゼパムを投与するとPLMSによる中途覚醒を減らすことができる場合があります。この薬はRLSのほか、レム睡眠行動障害の治療でも用いられています。

注1) 出典:睡眠学/日本睡眠学会p.560、Chabli A, Eur Neurol 44: 133-138, 2000.

 

監修:新橋スリープ・メンタルクリニック 院長 佐藤 幹 先生

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