レストレスレッグス症候群の症状、原因と治療【医師監修】

病気を調べる 2017年04月21日(金)

レストレスレッグス症候群の症状、原因と治療【医師監修】

レストレスレッグズ症候群

レストレスレッグス症候群(RLS)とは

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome; RLS) は、夕方から夜にかけて脚がむずむずするような異常な感覚が生じ、脚を動かしたくて我慢できなくなる病気です。主に下肢(Legs)に症状が現れることからこの名で呼ばれますが、上肢(腕)に生じることもあります。

RLSは日本語ではレストレスレッグス症候群、レストレスレッグス症候群、むずむず脚症候群、ムズムズ脚症候群、下肢静止不能症候群などいくつかの表記がありますが、いずれも同じものを指しています。周期性四肢運動障害(PLMD)と合併することもあり、ともに睡眠関連運動障害という診断カテゴリーに属する病気の一種です。

日本における調査では、RLSの患者さんは人口の5~10%で、中年以降、年齢が高くなるほど患者さんが多くなり、男性よりも女性に多くみられます。注1)

レストレスレッグス症候群の症状

RLSは次の条件が揃っている場合に診断されます。

  • 脚(または腕)にムズムズする感じや痛みなどの不快な感覚がある
  • そのために脚(または腕)を動かしたくなる強い衝動がある
  • 脚(または腕)を動かすと症状が軽減する
  • 夕方から夜間にかけて症状が現れる、または強くなる

ただし、他の疾患や薬の副作用などが原因で似たような症状が起こることもあるため、それらの可能性がないかどうか調べた上で診断します。

RLSで生じる不快な感覚は、ムズムズ、ヒリヒリ、虫がはうような感じ、ほてるような感じなどさまざまに表現されますが、進行すると痛みに変わることが多く、刺すような、あるいは電気が走るような痛み(電激痛)ともいわれます。このような感覚は皮膚の表面ではなく脚の内側に生じるため、脚の皮膚をさすったりかいたりしても効果がありません。立ち上がって歩いたり脚を動かしたりすると症状はいったん解消されますが、じっとしていると再び症状が現れます。

日中に症状が現れることもありますが、多くの場合は夕方から夜にかけて症状が出てきます。このため、床について眠ろうとしてもじっとしていられず、夜間の不眠と日中の眠気に悩まされます。

レストレスレッグス症候群(RLS)の原因

未だ、一定の見解は得られていませんが、多くのRLS患者においてドパミン受容体作動薬が有効であることから、RLSにおけるドパミン神経の関与(ドパミン神経伝達の低下)が示唆されてきました。また、ドパミン合成に鉄が関わっていることから、RLSが鉄とドパミンとどのような関係にあるかも研究されています。
靴下やズボンを履いていると、その感覚は常に中枢(脳や脊髄)に伝わっています。しかし、その感覚を常に感じていることは不快なため、中枢は手足から伝わってくるそれらの情報を抑制しています。その働きをしているのが、ドパミン作動性ニューロンの1つであるA11神経細胞群です。

現時点では、RLSの病態の3大要素として、遺伝的要素、ドバミン神経機能異常(A11間脳精髄ドパミン神経系)、脳内鉄欠乏や鉄輸送・代謝異常が考えられています。

RLS症状の発現には、末梢(手足の)神経から脊髄への温痛覚入力の異常、脊髄から大脳への感覚信号の伝達異常、中枢神経(脳幹網様体や大脳皮質)での感覚情報処理過程の異常など、様々な要因が関与していると考えられています。
抹消、脊髄、中枢と複数の部位や神経系統が関わっていて、単純な病態生理で説明するのは難しいとされていますが、ドパミン神経の機能不全により体感感覚の異常(過敏性の亢進)が起こり、脳内の鉄不足もしくは脳への鉄の輸送異常もその原因の一つであると示唆されています。

また、鉄以外の要素としてドパミン神経系(A11)そのものが機能低下を来しているのではなかと仮定されています。(A11仮説)
A11神経は大脳(前頭前野-体性感覚に関わります)や脊髄後角(温度や痛みを感じる部位)への刺激伝達を抑制する働きがあります。RLSではA11神経の働きが低下しているために、下肢から送られてきた感覚の情報を過剰に大脳(前頭前野)に伝えてしまいます。また、A11神経の機能低下により、ノルアドレナリンを介して交感神経が興奮しやすくなり、感覚の増大と同時に、PLM(睡眠中、無意識に下肢が動くこと-別項参照)を誘発すると推測されています。A11神経が機能低下を来す原因として遺伝的要素が大きいと報告されています。

ドーパミン(ドパミン)神経の機能低下と鉄分の不足

ドパミン合成やドパミン受容体,ドパミンの輸送などに鉄が関与することが知られています。RLSの原因ははっきりしていませんが、中枢神経(脳内)における鉄欠乏がドパミン神経系の機能不全を引き起こしていると考えられています。(鉄-ドパミン仮説)鉄の代謝には日内変動があります。血清鉄濃度は真昼に高くなり真夜中にかけて低くなることが知られています。これらの鉄代謝の特徴が、RLS症状の日内変動、すなわち夜間に症状が強くなることと関係していると言われています。
抹消の血清鉄は正常であるケースもありその場合は、末梢から中枢神経(脳、脊髄)への鉄輸送が障害されていると考えられています。また、RLS患者は健常者と比較し、血清・髄液中のフェリチン値(鉄の貯蔵量)が低いことが報告されています。したがって、血液検査では血清鉄と同時に、フェリチン値を測定することが大切です。血清鉄が正常な場合でも、フェリチン値が低い場合は鉄不足がRLSの原因になっていると考え、鉄剤を用いて治療します。
(神経伝達物質であるドーパミンの機能低下、鉄分の不足による代謝異常があると、中枢神経から四肢の感覚を司る末梢神経までの経路に何らかの機能異常が生じるだと考えられています。)

そのほか、次のような場合にもRLSの症状が現れることがわかっています。

慢性腎臓病

人工透析を受けている方のRLS発症率は2割以上といわれています。尿毒性の要素や腎不全に合併する鉄欠乏性貧血が、RLSの発症に関連すると推測されています。

妊娠

妊娠している方の約2割にRLSの症状がみられるといわれていますが、ほとんどは自然に治ります。妊娠では鉄欠乏、貯蔵鉄の低下や葉酸の低下がRLSと関与していると報告されていますが、一定の見解は得られていません。

パーキンソン病

パーキンソン病患者さんの約12%にRLSの症状が見られるという調査結果があります。ただし、RLSの患者さんがパーキンソン病になりやすいというデータは明らかではありません。RLSとパーキンソン病はドパミン機能の異常という点で共通していますが、両者の関係については今後も研究が必要です。

薬の副作用

三環系抗うつ薬やSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)は、自律神経回路を増強させる作用があり、二次的にRLSを引き起こす可能性があります。また、胃炎や十二指腸潰瘍などの病気に対して用いられるドパミン拮抗薬、アレルギーに用いる抗ヒスタミン剤がRLSの二次的な原因となることがあります。

遺伝的要因

RLSは家族間で発症しやすいとされ、関連する遺伝子も明らかになってきています。特に、一次性RLS(特発性RLS)の45歳以前の発症例に、遺伝的要素が強くみられると報告されています。

レストレスレッグズ症候群の対策・治療

【薬を使わない治療】

  • 鉄分不足の解消

ドパミンの元になる前駆物質をつくるときや、ドパミンが脳内働くときには鉄分が必要です。鉄分が不足している場合(血液検査で測定します)には鉄剤を服用し、同時に鉄分を多く含む食品やサプリメントを摂取します。

  • カフェイン、アルコール、喫煙、刺激物の摂取を控える

カフェインはRLSの症状を悪化させ鉄分の吸収を妨げるので摂取を控えます。同様にアルコールや刺激物の摂取、喫煙も控えた方がよいとされます。また、カフェインやニコチンといった物質は、交感神経を興奮させ、下肢の感覚(温痛覚)を増強させてしまう要因となります。

  • 身体を動かす・温度刺激を与える

RLSの症状は脚を動かすとおさまります。RLSで、足を動かすと楽になるのは、運動により、高まった温痛覚の刺激をごまかし減らすことができるからです。
このため、夜間に軽いウォーキングをしてから眠ると症状が起こりにくいという方もいますが、逆に運動をすると症状がより強く現れるという方もいます。また、脚に冷たいシャワーをあてると症状がやわらぐという方もいれば、逆に温めた方がよいという方もいます。ご自身に合った方法を見つけていただくとよいでしょう。軽度のRLSの場合は、軽い運動や下肢のシャワーだけでも、薬を飲まなくても大丈夫な程度に症状が軽減する場合が多くみられます。

【薬物治療】

  • ドーパミン受容体作動薬(パーキンソン病治療薬)

RLSの治療薬として最初に選択されるのは、ドパミンアゴニストと呼ばれるドパミン受容体作動薬です。この薬はパーキンソン病の治療に使われますが、ドパミンそのものを増やすのではなく、A11におけるドパミン活動を増やす働きをします。また、パーキンソン病に使用する場合と比較して、ごく少量のドパミン作動薬を使います。中でもプラミペキソールという薬がもっともよく使われ、ほとんどの患者さんは日常生活に支障がない程度に改善します。このプラミペキソールは、周期性四肢運動障害(PLMD)の症状を緩和するためにも使われます。RLS症状が週に3回以上ある場合は継続して服用することが勧められています。

  • 抗てんかん薬

プラミペキソールなどのドパミン受容体作動薬を使ってもRLSが改善しない場合は、クロナゼパムやガバペンチンなどの抗てんかん薬を使うことがあります。

注1)出典:「レストレスレッグス症候群(RLS)」井上雄一・内村直尚・平田幸一 編

 

監修:新橋スリープ・メンタルクリニック 院長 佐藤 幹 先生

Photo by Esther Max

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