概日リズム睡眠障害の症状、原因と治療【医師監修】

病気を調べる 2017年04月21日(金)

概日リズム睡眠障害の症状、原因と治療【医師監修】

概日リズム睡眠障害とは

ヒトだけでなくほとんどの生物の生理機能は、体内時計によって概ね24時間の周期で変動しています。これをサーカディアン(概日・がいじつ)リズムといいます。概日リズム睡眠障害(Circadian rhythm sleep disorders)は、体内時計による睡眠・覚醒サイクルの調整がうまくいかず、実際の生活環境における時間帯とのずれが生じる睡眠障害の総称で、睡眠・覚醒リズム障害ともいいます。

体内時計の乱れによる睡眠相前進・後退型だけでなく、時差や交代勤務で睡眠時間帯をずらしたために生じる睡眠障害(時差型、交代勤務型)も概日リズム睡眠障害の一種といえます。このほか、フリーラン型(非同調型)、不規則睡眠・覚醒型などいくつかの種類があります。

概日リズム睡眠障害の症状

概日リズム睡眠障害のどの種類においても、夜眠るべき時間帯に眠れず、昼間起きていなければならない時間に眠気や過眠で悩まされるという問題があります。集中力の低下や倦怠感のため仕事や学業に支障をきたし、生活の質が低下します。

• 睡眠相後退型

睡眠相後退障害(delayed sleep phase disorder)、睡眠相後退症候群(delayed sleep phase syndrome)とも呼ばれ、青年期に多くみられます。深夜まで眠れず、朝起きるべき時間に起きられなくなりますが、いわゆる「宵っ張りの朝寝坊」のように、自分の意思で遅くまで起きているわけではなく、早く寝ようと努力しても眠れないという点が異なります。

• 睡眠相前進型

睡眠相前進障害(advanced sleep phase disorder)、睡眠相前進症候群(advanced sleep phase syndrome)とも呼ばれ、高齢者に多くみられます。睡眠相後退型とは逆に就寝・起床時間ともに早まるため、夕方早くから眠くなってそのまま寝てしまい、深夜や朝早くに目が覚めてしまいます。

• 時差型

3つ以上のタイムゾーンを超えるような時差が大きい地域へ飛行機で移動することによって起こります。東への移動は睡眠時間帯を前進させる(早寝早起きを強いられる)ため、西への移動で睡眠を後退させる(遅寝遅起きになる)場合よりも症状が重くなりやすいとされています。

• 交代勤務型

日勤と夜勤の交代勤務など、勤務時間帯に変更がある職業で起こります。交代勤務だけでなく夜間に勤務が固定されている場合でも、昼間に眠らなければならないため眠りが中断され、睡眠の質が低下します。

• 不規則睡眠・覚醒型

病気療養が長期間にわたっている人などに多く、起きている時間と寝ている時間の区別があいまいなため、睡眠が不規則になります。トータルの睡眠時間は特別短いわけではありませんが、まとまった時間に睡眠をとることができず、昼夜の区別なく一日に何度もこま切れに眠るようになります。認知症、頭部外傷、精神発達遅滞などによって体内時計が器質的に障害されている患者さんにみられることがあります。

• 自由継続型(非同調型)

非24時間睡眠覚醒症候群(non-24 hour sleep-wake syndrome)、フリーラン型(free running rhythm)とも呼ばれます。体内時計の本来の睡眠・覚醒サイクルが、一日24時間と同調せずそのまま進んでしまうため、就寝・起床時刻が毎日少しずつ遅くなっていきます。発症頻度はまれですが、視覚障害者にはより多くみられます。これは光による体内時計の同調が行われないためであると考えられます。寝つく時間と目覚める時刻が日を追ってずれていくため、通常の社会生活を送ることが困難になります。

概日リズム睡眠障害の原因

体内時計のリズムは24時間よりも少し長くなっていますが、通常の生活では、太陽の光を毎朝浴びることや社会的な生活のリズムによって体内時計がリセットされ、一日24時間に合わせるよう調節されています。

ところが周囲の環境からの動機づけが少ない不規則な生活をしていると、朝遅くまで寝ていたり、夜遅くまで起きていたりすることが多くなります。睡眠相後退症候群は、この遅れが一定時刻の範囲でとどまった状態で生活が続いている状態であると考えられます。

一方、外部環境とは関係なく、体内時計のサイクルだけで自由に睡眠・覚醒が行われる状態が非24時間睡眠覚醒症候群(non-24 hour sleep-wake syndrome)です。

睡眠相後退型とフリーラン型を対象に、体内時計の調節に関わる7種類の遺伝子(時計遺伝子)を調べた研究の結果、概日リズム睡眠障害の発症にかかわる遺伝子多型(DNA配列の個人差)が見つかっています。この遺伝子の違いは、健康な人の睡眠習慣(夜型・朝型など)の違いにもかかわっていることがわかっています。

このほか、アルツハイマー型認知症や肝疾患など、他の身体的な疾患のために体内時計が乱れ、睡眠相後退型や自由継続型の睡眠障害になることもあります。

概日リズム睡眠障害の対策・治療

薬を使わない治療

• 睡眠相後退症候群の場合:朝は太陽の光を浴び、夜は強い光を避ける
強い光(5,000ルクス以上の人工光でも可)を浴びることで眠りを誘うホルモンであるメラトニンの分泌が止まり、身体が活動状態に入ります。夜になると再びメラトニンが分泌され自然に眠りに入りますが、このときに強い光を浴びているとメラトニンの分泌が低下してしまいます。
したがって、体内時計をリセットするためには、朝起きたときに太陽の光を浴びることが効果的です。反対に、夕方以降に明るい光を浴びると、睡眠覚醒リズムがさらに遅くなってしまいます。

• 睡眠相前進症候群の場合:夕方以降に明るい光を浴び、朝は光を避ける
睡眠相後退症候群とは逆に、夕方早い時間に眠くなって朝早く目覚めてしまう場合には、夕方以降に人工光などの明るい光を浴び、朝はアイマスクや遮光メガネを着用する方法があります。

• 睡眠日誌をつけ、生活時間帯を修正する
睡眠日誌(睡眠記録表)に就寝・起床時刻や途中で起きた時刻を記録します。これを一定期間、毎日続けることによって自覚と動機づけを高めていきます。その上で就寝・起床時刻を毎日少しずつずらし、睡眠を正常な時間帯に戻すことを目指します。

薬物治療

• メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)
眠りたい時刻の4~5時間前にメラトニン受容体作動薬を服用します。メラトニン受容体作動薬は、メラトニンと同じように脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)にあるメラトニン受容体に作用して眠りを誘い、睡眠覚醒リズムを整えます。

• 睡眠薬(睡眠導入剤)
眠りたい時刻に眠れるよう、作用時間の短い睡眠薬を併用する場合もあります。

監修:新橋スリープ・メンタルクリニック 院長 佐藤 幹 先生

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