うつ病の症状、原因と治療【医師監修】

病気を調べる 2017年04月21日(金)

うつ病の症状、原因と治療【医師監修】

うつ病とは

うつ病は、強いうつ状態が長く続いて日常生活に支障をきたす病気です。患者さんの多くは、夜眠りにつくことができない、眠りが浅い、朝早く目が覚めるなど不眠の症状を訴えます。ただし、若い患者さんの場合には逆に昼間の過眠が現れることもあります。

日常生活の中では、気持ちが落ち込んで元気がなくなるようなことを誰もが経験します。しかし多くの場合は、何か楽しいことをしたり考えたりすれば気分がまぎれ、その原因が解消されればまた元のように過ごすことができます。このように気分の落ち込みが一過性で、日常生活に支障をきたさない程度であるときには、うつ病とはみなしません。

うつ病における「うつ状態」とは、物事に対する関心や取り組む意欲がなくなり、何もする気が起こらない状態が一日の大半を占め、それがほぼ毎日、2週間以上にわたって続いている状態をいいます。不眠や食欲がなくなるなど、さまざまな症状が伴い、生活の質が低下するだけでなく社会生活が困難になります。

うつ病は、従来からの大うつ病(単極性うつ病)と精神医学的に確立されているものではありませんが、最近では新型うつとも呼ばれる非定型うつ病が提唱されており、睡眠障害の現れ方にもそれぞれ特徴があります。

うつ病の症状-不眠と過眠

• 大うつ病(単極性うつ病)

従来からの大うつ病では、患者さんは自分自身を強く責める傾向があります。食欲不振で体重が減少したり、不眠症状の強い方が多くみられます。抑うつ気分には日内変動があることが多く、一日の中では朝がもっとも調子が悪く、夕方になると多少よくなっていく傾向があります。

• 非定型うつ病(新型うつ)

若い方を中心に増えている新しいタイプのうつ病です。排他的になり、他人を非難する傾向があります。過食による体重の増加や、一日の大半を寝て過ごすような過眠の症状もみられます。眠りが浅く、うとうとしている時間が長いだけなので、睡眠の質は悪くなります。こうした不規則な睡眠習慣がうつ病を慢性化させる要因のひとつになっていると考えられます。大うつ病とは逆に、夕方になるにつれて孤独感が募って調子が悪くなることが多いです。

うつ病の原因-睡眠との関係

うつ病になると、物事に取り組む意欲などの精神エネルギーだけでなく、生命活動にかかわるエネルギー全体が低下します。そのため、食欲や睡眠欲など生命維持に不可欠な生理的欲求さえも低下してしまいます。

うつ病の原因のひとつとして、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなどの機能低下が関係していると考えられています。特にセロトニンは睡眠ホルモンのメラトニンと密接な関係があり、日中にセロトニンが十分働いていないと夜にメラトニンの分泌が少なくなり、睡眠に悪影響を及ぼすといわれています。

また、ストレスもうつ病の原因のひとつとして知られていますが、脳にストレスがかかると生理的には覚醒度が上がるため、多くの場合は不眠がつきまとうことになります。しかしその一方で、同じうつ病でも過眠に悩まされる患者さんもいることから、精神的なストレスがさまざまな形で睡眠の異常として現れていると考えられます。

うつ病の対策・治療-不眠への対応

うつ病の多くの例では、発症前に不眠の症状が現れていることがわかっています。つまり慢性的な不眠は、うつ病のサインである可能性があるということです。また、うつ病を発症している患者さんの場合も、不眠が続くことでうつがさらに悪化します。したがって、不眠の症状がある場合にはできるだけ早い段階で適切に対処することが、うつ病の発症や悪化を防ぐために大切であると考えられています。

うつ病がよくなっても不眠の症状だけが残る患者さんは少なくありません。不眠がなかなかよくならない患者さんはうつ病が再発するリスクが高くなり、重症化することも多いと報告されているので注意が必要です。

うつ病のように精神的な疾患がある場合には、不眠の症状だけを取り出して治すということはできません。脳の状態全体をよくしていき、日中のストレスを取り除くことによって初めて夜も眠れるようになります。また、夜によく眠れるようになれば、日中に感じるストレスの要因をひとつ減らすことにもなります。睡眠薬を適切に使って夜にゆっくり休むことができれば、日中の抑うつ気分が軽減されます。したがって、うつ状態のときには睡眠薬を積極的に使うことが推奨されています。

ただし、一部のベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使うと眠気は催すものの、眠りが浅く睡眠の質自体は悪くなるともいわれています。安易に睡眠薬に頼ると、かえって不眠が悪化する可能性もあるため、睡眠を専門とする医師の指導のもとで使うことが大切です。

うつ病の治療薬であるSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などは、副作用として不眠を引き起こすことがあるため注意が必要です。

新規抗うつ薬のNaSSAや四環系抗うつ薬、トラゾドンなどは鎮静系抗うつ剤と呼ばれますが、これらの薬は眠気を引き起こすとともに眠りを深くする働きがあるため、不眠の症状が強いうつ病患者さんに使われることがあります。また、統合失調症の治療に用いる抗精神病薬や漢方薬なども、睡眠をよくするために併用することがあります。

監修:新橋スリープ・メンタルクリニック 院長  佐藤 幹 先生

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