眠いのに眠れない…病院にいくべき?入眠障害の原因と対策【現役医師が教える不眠症教室】

Medical 2016年12月31日(土)

眠いのに眠れない…病院にいくべき?入眠障害の原因と対策【現役医師が教える不眠症教室】

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眠いのに眠れないという皆さん、入眠障害という言葉を知っていますか?日本人の約3割は入眠障害だと言われています。入眠障害を抱えている方は他の睡眠障害を併発している場合が多く、病院へ行くときにはかなり入眠障害が酷くなってしまう場合が多いのが特徴です。入眠障害について、原因と対処方法、試してみてほしい方法などを紹介します。

目次
■ 入眠障害とは
■ 入眠障害の症状
■ 入眠障害の原因
■ 入眠障害の対策とアドバイス(診断前)
■ 入眠障害の対策とアドバイス(診断後)

■入眠障害とは

悩みや考え事などないのに自然な眠りに入れない状態(消灯から2時間以上)が週に3回以上あり、それが3か月以上連続で続いている場合を入眠障害といいます。入眠障害は中々自分自身で自覚するのが難しいこともあり多くの人が人知れず悩んでいる状況です。
病院で治療が必要なのは、寝入りが悪いために以下のような事が続く場合です。

  • 睡眠不足が連続で2週間以上続く
  • 睡眠が足りていないため、仕事や生活に支障をきたす
  • 昼間の生活に睡眠不足が支障をきたす
  • 他の人から見て昼間の生活が支障をきたしていると指摘される

入眠障害など睡眠に関する悩みで多いのが、「自分は本当に入眠障害なのだろうか?このくらいで病院に行ったらおかしいと思われるのではないか」ということです。

■入眠障害の症状

入眠障害の症状は外の睡眠障害の症状と違うのが特徴的です。しかし、入眠障害+他の睡眠障害という方もいらっしゃいますので、以下の症状に少しでも当てはまる方は最寄りの内科か精神科・心療内科へ行くことをおすすめします。

  • 消灯から2時間経っても寝付けない(注意:ただし、通常は既に1時間以上経てば入眠が困難であると不快感を感じ始めます。)
  • ある時期から寝入りがかなり悪くなった
  • 悩みなどを消灯まで引きずっていない
  • コーヒーや飲酒などの刺激物などを取っていないのに眠れない
  • 体は疲れているのに眠れそうで眠れない
  • 何かで寝入り際に起きてしまうとまた眠るのが難しくなってくる
  • 仕事やスポーツなど体を動かしたり頭を使うようなことがあり疲れていても眠りに入れない

ちなみに私はこれらの症状すべてが当てはまります。また、些細な隣の部屋からの話し声や外を走っている車のエンジン音なども寝入り際に気になると次に寝入るのが難しくなってしまいます。


>>眠れないときの病院選び・治療ガイド


■入眠障害の原因

では一体、入眠障害の原因は何なのでしょうか?大きな原因は次の8つが考えられます。

1.頭が興奮しすぎている

私たちの体は自律神経(交感神経・副交感神経)と呼ばれる2つの神経のグループが交互にリーダーになり、私たちの行動がコントロールされています。

◎交感神経:活発に活動したり興奮状態の時はこの神経のグループがリーダーとなり私たちを動かしてくれます。(例:興奮する、目が覚める、やる気の状態)
◎副交感神経:睡眠や消化活動などに体が落ち着いた場合にリーダーになるグループです。(例:トイレに行きたくなる、お腹が空く、眠くなる、やる気がなくなる、落ち着く)

入眠障害の原因は、「体が疲れているのに頭が興奮しているため眠りを呼び起こさない」というのが第一の原因だと言われています。

2.性格や遺伝気質

交感神経の働きとも関係が出てきますが、性格的に交感神経がリーダーになりやすい人や、遺伝気質的に(親戚にそのような人が多い)興奮しやすい気質などを持っている場合は、他の人よりも興奮が収まりにくく中々眠りにはいれません。

3.寝入る前の体温が高すぎる/低すぎる

寝入る直前は体温が少し下がっています。しかし熱帯夜などを思い浮かべてくださると分かりやすいと思いますが、体温が眠る前にも関わらず高いと眠りに入りにくい傾向があります。ちなみに以下のような状態の時に起こりやすくなります。

  • 高温のお風呂が好き
  • 寝る部屋が暑い
  • 体を寝る直前に温めすぎる(*注意:適度に温めるのは寝入るために良いことですが、やりすぎて温めすぎるのは却って入眠を困難にしてしまいます。)
  • 厚着や布団などを多くかけすぎる
  • 反対に寒すぎる

このように極端な環境だと寝入りに入るタイミングを逃してしまう場合が多いです。

4.寝入るのに適切な環境でない

お子さんが小さい場合や、眠る時間帯が違う人が一緒に暮らしていると起こりやすい原因です。また、いびきや歯ぎしり、寝言なども気になってしまう人には原因になりやすいです。その他にも、以下のようなことがあると眠りにくいです。

  • 眠っている時にPCやベッドサイドのライトが目に入ってくる
  • 夜中に帰ってくる人が近所にいる
  • 大学生など人が多く集まる場所が近くにある

5.昼間あまり活発に動いていない/動きすぎている

昼間一人で家に居る人や、事務の仕事の人などは体を動かさずにPCのモニターなどだけを見ている作業が多くなります。そうすると、体があまり疲れずに夜になっても寝入りが難しくなります。

反対に、一日中走り回ったり立ち仕事で絶えず体を動かす人も体が疲れすぎて眠りにすんなり入れないことがあります。

6.昼間の刺激物(カフェイン飲料やカカオなど)の過剰摂取

昼間にカフェインが多く含まれたコーヒーやお茶などを飲むと中々交感神経と副交感神経が交代してくれず、眠りに入れなくなります。また、チョコレートや辛い香辛料などが好きな人も夜までそれらで興奮された脳の状態が残ってしまい、寝入りが難しくなってしまいます。

7.ショックな映像やショックな出来事が身近に起こった

ショックを受けることを聞いたり、人から直接批判されたりすると精神面で軽く落ち込み(へこむ状態)それが寝入りを悪くさせている可能性もあります。自分では気にしていないようでも、無意識に心の奥底で傷ついている場合があります。

また、身近でなくてもショッキングな出来事や映像などを見てしまうと、代理トラウマといって自分が直に受けていないのにそのショックを受けた状態(トラウマ状態)になってしまいます。

8.持病の薬やサプリメント

以下の薬やサプリメントは交感神経に働きかけるため入眠困難になる場合もあります。(個人差あり)

  • 気分を高揚させるような薬(抗うつ剤、抗パーキンソン病の薬)
  • カフェイン
  • 栄養ドリンク
  • 高血圧の薬
  • 気管支拡張剤など呼吸器系の薬
  • ステロイド
  • 抗生物質
  • 咳止めの薬など

★可能性のある病気

上記の8つ以外の原因に、病気によって入眠困難になる場合も考えられます。そのような場合には、必ず以下のポイントに注視してみてください。

例1. 心臓や肺が悪い場合
入眠困難 + 息苦しい、咳が出る、むくみがでるなど

例2.鬱などの精神的な場合
入眠困難 + 外に出る気がしない、気分が落ち込む、やる気が出ないなど(ベッドから出れない)

例3.腎臓病や肝臓病の場合
入眠困難 + 肌の色(指で押すと黄色くなる)や肌の痒み・赤み、尿の色の変化(茶色や黒色など)、急にお腹だけ膨れてきた、生活できないほどの疲労感や倦怠感など

この他にも、糖尿病や慢性的な病気、または自己免疫性症候群やアトピー性皮膚炎などの持病がある人は入眠困難になりやすいです。

■入眠障害の対策とアドバイス(診断前)

重要なのは以下の3つのことです。

1.内科か心療内科・精神科の専門機関にかかる

一番重要なことは、まずは内科や心療内科など専門機関にかかり、適切な診断を受けることだと思います。もし、入眠困難だけでしたら入眠困難を治すように努力すればいいですし、他の病気が原因で2次的に入眠困難が起こっているようでしたら、その元になっている病気を先に治すという風に、早めに診断されれば早めに対処でき短時間で解決する場合も多いからです。


>>眠れないときの病院選び・治療ガイド


2.持病を治す

持病があればそれをしっかりと治してみて、それでも入眠困難があるかどうか確かめてください。

3.自己判断をしない

自己判断で安易に市販の睡眠薬などを飲むのは根本的な解決になっていません。

■入眠障害の対策とアドバイス(診断後)

入眠困難などの睡眠障害と診断されたら、まずは医師の治療内容に従ってみましょう。医師は治療マニュアルに沿って治療を行います。日本睡眠学会が定める治療マニュアルは、日本人の体質に一番適した治療法です。

何ができるのか分からない時は、まずは身近な物から目を向けてみて下さい。例えば、以下のようなものもおすすめです。

  • 寝る前には少し頭を冷やして足元を温める:副交感神経に変わり安いです
  • 消灯の1時間前には全てのITツールを遮断する(PC, スマホ、タブレットなど):脳を興奮させないようにします
  • ストレッチなどで体をほぐす:血行が良くなり筋肉がほぐれるので寝入りが楽になります
  • ノンカフェインの暖かいお茶を飲む:体温が上がり血糖値も少し上がるので(正常の範囲内です)空腹感がまぎれます
  • 呼吸を少し意識して遅くする:副交感神経に変わりやすくなります
  • 肌に触れる素材はコットンなど柔らかい素材にかえる
  • 寝る前の儀式(羊を数えたり、白湯を飲んだり)など習慣をつける

参考文献URL:日本睡眠学会治療マニュアル http://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf

<筆者プロフィール>

ニックネーム:benichan
カリブ海で内科医師をしています。最新機器がない島で最低限の技術で工夫して患者さんを診察しています。自分自身も入眠障害型の不眠症なので、皆さんと一緒に問題を解決していきたいと思っています。日本の医療技術は先進国の中でも高い技術を誇っていますので、その技術の恩恵を利用しない手はありません!不眠を改善し、朝までぐっすり眠りましょう!

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