もしかして不眠症?眠れない時の病院選び・治療ガイド/何科に行くの?

Medical 2016年10月25日(火)

もしかして不眠症?眠れない時の病院選び・治療ガイド/何科に行くの?

治療ガイド

「なかなか寝られず困っている」「いくら眠っても疲れが取れない」・・・こんな症状に悩んでいる人は、「一度お医者さんに診てもらおうかな」と考えることもあると思います。そこで、受診したほうがよい目安や、どのような治療が行われているのか、処方される薬などについて、簡単にご紹介します。

目次
受診したほうがよい状態って?
さまざまな不眠症のタイプ
不眠の原因
睡眠の専門家がいる「睡眠外来」
睡眠外来での治療
睡眠薬の種類
まとめ

受診したほうがよい状態って?

受診したほうがよい状態

photo by John Currie

受診するかどうかの目安

眠れなくて悩んでいるとはいえ、不眠症かどうかは医師でなければ判断できません。では、受診を考えたほうがよいのはどのような状況でしょうか。ひとつの目安としては、1日の睡眠が5時間以下の状態が6ヵ月以上続き、眠りが足りない、眠れないと悩んでいるようであれば、「慢性不眠」の可能性が高いといえるでしょう。一度医療機関で診てもらうとよいかもしれません。

不眠を客観的に評価できる「アテネ不眠尺度」

現在自分がどのような状態かもっと詳しく知りたいという人には、医学的・客観的に不眠を評価する尺度として、「アテネ不眠評価尺度」があります。これは、世界保健機構(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した、世界共通の不眠症の判定尺度です。8つの質問に対する回答を数値化し、自覚症状を元に客観的に不眠度をチェックすることができます。一般の人でも使いやすいので、自分が不眠症かもしれないと気になる人は、受診するかどうかの判断材料にしてはいかがでしょうか。
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さまざまな不眠症のタイプ

さまざまな不眠症のタイプ

photo by Lottie

医学的に特に病気として不眠症という場合、「夜眠れない」という睡眠の問題に加えて、日中の生活や活動に支障がある状態を指します。例えば、日中に強い眠気がある、集中力が続かない、疲れやすいなどの症状があります。
一口に不眠症といっても、さまざまなタイプがあります。自分がどのタイプにあてはまるのか、思い浮かべながら読んでみましょう。

入眠障害

夜なかなか寝付けず、ベッドに入ってから眠りに落ちるまで30分以上かかる、いわゆる寝つきが悪い状態で、最も多いタイプです。不眠症は、初期にはこの入眠障害から始まることが多いです。

中途覚醒

朝起きるまでに何度も目が覚めてしまい、その後眠れないタイプの不眠です。
中高年になると多くなります。

早朝覚醒

朝、起きようと思っていた時間より2時間以上早く目が覚めてしまい、その後も眠れなくなります。中途覚醒と同じく、中高年になるほど多くなるという特徴があります。

熟眠障害

眠りが浅く、「ぐっすり眠れた」という満足感が得られません。全体的に睡眠の質が悪く、朝起きても不満が残ってしまうタイプです。

慢性の不眠症

医学的には、「精神生理性不眠症」という少し難しい名前がついています。
ストレスや環境の変化などで一時的に眠れないことは誰にでも起こります。このようなケースでは睡眠薬を少し飲み、1週間程度で収まることも多いですが、この「精神生理性不眠症」は、ストレスや環境の変化がなくなった後も眠れなくなってしまい、不眠が慢性化してしまった状態です。
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不眠の原因

不眠の原因

photo by Stephanie Chapman
不眠の原因は、睡眠環境によるものや、こころやからだの病気が元になっているもの、睡眠中の異常現象によるものなどさまざまです。

睡眠習慣・環境

就寝方法や睡眠環境、目を覚ます時の環境などが原因の不眠です。例えば、「スマホやテレビを寝る直前まで見ている」、「寝る間際にコンビニで明るい光を浴びている」などが原因です。また、アルコールやカフェインの摂取が睡眠に悪影響を与えていることもあります。

心理的原因

不安や緊張などの心理的な葛藤が原因となっているもので、睡眠に対するこだわりが必要以上に強い人などによく見られます。例として、「日中は必ず8時間眠らないといけない」、「ベッドに入ったら30分以内に眠らなきゃ」といった思い込みが強すぎると、不安から不眠を招きます。

こころの病気

うつ病、統合失調症といったこころの病気が原因で不眠が引き起こされることもあります。うつ病の患者さんのうち、9割近い人に不眠の症状があるとされています。

からだの病気

頭痛や歯痛、胃など消化器の痛み、アトピー性皮膚炎などのかゆみなど、からだの病気は睡眠を妨げる原因となります。また、糖尿病や高血圧も不眠の原因となることがわかっています。糖尿病の患者さんは不眠である人の割合が多く、睡眠不足は糖尿病が悪化する要因にもなります。入眠障害や熟眠障害は、高血圧に関連しているともいわれています。

睡眠中の異常現象

無意識のうちに体が動いたり、不快な刺激を感じたりして眠りが妨げられるケースです。脚に虫が這うような感覚が起こるむずむず脚症候群、睡眠中に10秒以上呼吸が止まってしまう状態が、1時間に5回以上起こる睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。

概(がい)日(じつ)リズム睡眠障害

「概日リズム」とはいわゆる体内時計のことで、ほぼ24時間の周期で繰り返される、睡眠や覚醒、体温の変化、ホルモン分泌などの体内活動のリズムのことです。このリズムが狂うと夜になっても眠くならなかったり、朝になっても起きられなくなったりして、不眠の原因となります。

薬が原因で起こる不眠

病気の治療のために飲んでいる薬の影響が原因となることもあります。血圧を下げる薬、ステロイド剤、抗うつ薬などが不眠を引き起こしやすい薬として知られています。薬が原因の不眠は、医師と相談し適切に服用していればあまり起こりません。気になることがあれば医師に相談しましょう。

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睡眠の専門家がいる「睡眠外来」

睡眠外来

photo by Katrin Gilger
ここまでご紹介してきたように、不眠症のタイプや原因はひとつではありません。ですから、治療法も異なります。では、病院に行こうと思ったら、まず何科に行けばよいのでしょうか。まずは無難に内科?それとも精神科?心療内科・・・?

睡眠障害が専門の医療機関がある!

これらの科でも診察は可能ですが、「睡眠が専門です」という医師は少ないでしょう。そんなときは「睡眠外来」がお勧めです。「不眠症外来」という名称で開設している病院もありますので、ぜひ調べてみてください。

また、日本睡眠学会(http://jssr.jp/)は、睡眠医療専門の医師や医療機関を認定しているので、認定医がいる医療機関を受診するとよいでしょう。特に、むずむず脚症候群・睡眠時無呼吸症候群・うつ病による不眠は、専門施設での検査と診断が必要です。これらの特殊な睡眠障害にはそれぞれ特別な治療法があるため、「自分が該当するかも」と思った場合には、まず睡眠医療認定医や精神科医(うつ病が原因の場合)へ相談してください。
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睡眠外来での治療

睡眠外来での治療

photo by Vic
睡眠の専門医は適切な質問で症状を正確に把握し、治療の必要があれば、睡眠衛生指導、薬物療法、認知行動療法を柱とした治療を行います。それぞれどのような治療法かご紹介します。

睡眠衛生指導

良質な睡眠を確保するため、睡眠習慣・環境に原因があれば、これらに対し生活改善の指導を行います。寝室の環境や食生活などについて、患者に応じた適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

薬物療法

睡眠に関する脳内のさまざまな物質をコントロールすることで、症状を改善します。薬剤には、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬などの種類があります。うつ病による不眠がある場合は、抗うつ薬を併用することがあります。

認知行動療法

認知行動療法とは、日常のふるまい方や考え方、生活習慣を直す心理的な治療法です。睡眠に関する考え方や行動のパターンを見直して、自分が目指す状態になるように変えていきます。努力が必要ですが副作用がなく、薬物療法とほぼ同等の効果があるという長所があります。
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睡眠薬の種類

睡眠薬の種類

photo by Michelle Amerman
「睡眠薬」と聞くと、なにやら怖いイメージを浮かべる人もいるかもしれません。確かに以前は服用に危険が伴う薬もありましたが、それは昔の話。安全なものが多く出ています。

ベンゾジアゼピン系の薬

GABA(γ(ガンマ)-アミノ酪(らく)酸(さん))という物質は脳内で覚醒物質が作られる際のブレーキと作用していますが、ベンゾジアゼピン系の薬は、このGABAのはたらきを高めます。つまり、覚醒状態の高まりを抑えることができ、その結果、睡眠状態に導きます。薬の作用時間によりさまざまな種類があり、入眠障害に対しては短時間作用するタイプ、中途覚醒や早朝覚醒には長時間作用するタイプが使用されます。

非ベンゾジアゼピン系の薬

ベンゾジアゼピン系と同様にGABAの作用を高める薬ですが、ベンゾジアゼピンに現れる筋弛緩作用などの副作用が比較的少ないのが特徴です。高齢者に推奨されています。

メラトニン受容体系の薬

概日リズム睡眠障害で睡眠・覚醒のリズムに問題が生じている場合に使用されます。脳内物質のひとつであるメラトニンは夜間に多く分泌され、体内時計のリズムを整えるほか、睡眠を促すはたらきがあります。メラトニン受容体系の薬は、脳内でメラトニンと同様に作用することで、睡眠のリズムを元に戻します。

オレキシン受容体拮抗薬

オレキシンも脳内物質のひとつです。睡眠と覚醒の状態は相互に移り変わりますが、オレキシンはこれを覚醒状態にとどめておくはたらきがあります。オレキシン受容体拮抗薬は、オレキシンの作用を阻害することで睡眠の導入を早め、中途覚醒を防ぐといわれています。

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まとめ

まとめ

photo by Tyrin Price
いかがでしょうか?不眠症にはさまざまな症状や原因があることがおわかりいただけたと思います。

もしもあなたが少しでも「不眠症かも?」と疑問を持っているなら、思い切って医療機関を受診し、専門家の治療を受けてみてはいかがでしょうか。快適な眠りを取り戻し、正しい生活リズムで活動的な毎日を過ごしましょう。
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参考:
岡島義,井上雅一:薬を手放し、再発を防ぐ 認知行動療法で改善する不眠症,2012,すばる舎,東京

櫻井武:睡眠障害のなぞを解く 「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで,2015,講談社,東京

厚生労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使用及び減量量・中
止のための診療療ガイドラインに関する研究班」および日本睡眠学会・睡眠薬使
用ガイドライン作成ワーキンググループ 編:睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン,2013

厚生労働省:生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 不眠症,
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html(2016年10月14日アクセス)

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