不眠症の治療ってどんなもの?病院の受診を考えているあなたへ

Medical 2016年10月20日(木)

不眠症の治療ってどんなもの?病院の受診を考えているあなたへ

不眠症の治療法

最近なかなか寝付けない…もしかしたら私は不眠症かも?と悩まれている皆様、病院を訪れることも苦しみから解放されるための一つの選択肢かもしれません。病院の受診を考えられている方に、不眠症の治療について簡単にご説明します。不眠症の治療法には、睡眠衛生指導や認知行動療法による非薬物療法と、睡眠薬を主体にした薬物療法があり、両者をうまく組み合わせることで、効果的な治療が可能になります。

不眠のネガティブスパイラル

慢性的な不眠に悩む患者さんは、「ぐっすり眠れない」ことが、疲労や体調不良の根源と考えるようになり始めます。眠ることばかり意識した結果、焦り、不安、緊張が徐々に強くなり、ますます眠れずに不眠恐怖症に陥る悪循環がみられがちです。このように不眠のネガティブスパイラルに陥った状態では、不眠に対する過度のとらわれから、不安・緊張感の増強、誤った回避行動による悪循環を繰り返すことになります。

認知行動療法で、ネガティブスパイラルから抜け出す

こういった不眠の患者さんの誤った認知と行動を修正していくのが、認知行動療法(Cognitive behavioral therapy; CBT)です。刺激制御療法、睡眠制限療法、筋弛緩療法、自律訓練法、バイオフィードバック法などを組み合わせたcombined CBT(c-CBT)が、欧米では積極的に取り入れられ、日本でも注目されています。

不眠症に用いられる代表的な認知行動療法

<刺激制御療法>
「寝室=眠れない」という条件反射を起こす刺激を取り去り、本来の「寝室=眠れる」という条件付けを強化する方法です。
・眠くなってからのみ寝床に入ること
・寝床は睡眠と性生活のみに使用すること(読書、テレビ、パソコン、食事などは禁止)
・寝床に入っても20分以上眠れなければ、すぐに寝床から出て、別の部屋で過ごし、再度眠気が生じてからで寝床に行くこと。眠れなければこれを繰り返す。
・いかに眠れていなくても、毎朝決まった時間に起床すること。

<睡眠制御療法>
不眠の患者さんは、少しでも長く寝床で過ごす傾向があり、就床時間が長ければ長いほど、不眠体験も増えてしまう悪循環を断ち切る方法です。
・2週間の平均睡眠時間+15分だけ寝床にいるようにする(最短は5時間まで短縮)。
・起床時刻は平日も休日も一定とし、上記で算出した睡眠時間に合わせて就寝時刻を設定。
・日中昼寝の禁止。
・寝床にいる時間の9割以上眠れた日が5日間続いたら、就寝時刻を15分早めて、これを繰り返し、必要な睡眠時間まで徐々に延長していく。

<筋弛緩療法>
不眠の患者さんでは、就寝前の不安、緊張から全身の筋緊張が高まった状態にあります。前腕や上腕など末梢の特定の筋肉を収縮させて筋緊張と弛緩の感覚を覚えていき、徐々に全身の筋肉を弛緩させてリラックスした状態に導く方法が用いられます。

<自律訓練法>
横になってリラックスし眠りに落ちていく際に、だんだん手足が温かく重みを感じるようになり、呼吸はゆったりしていきます。このイメージを利用して、楽な姿勢をとり、「右腕が重くなる」「左腕が温かくなる」と段階的に自己暗示をかけながら、リラックスした状態を作り出す方法です。

<バイオフィードバック法>
筋電図など装置を利用して音を出し、筋緊張や弛緩の変化を確認しながら、コントロールしていく方法です。

“簡単かつ効果大”な認知行動療法

忙しい日々の診療では、時間や装置が必要なCBTは、どうしても敬遠されがちです。本格的なc-CBTは専門家にお任せするとして、時間制限療法、刺激制御療法、睡眠衛生指導を主軸とした簡易な認知行動療法をマスターして、薬剤処方と組み合わせて行えば効果大です。
・睡眠時間は6時間の設定からスタート。起床時刻を決め、そこから逆算して就寝時刻を決定。
・上記の時間帯以外、寝床にはいないこと。
・光は就寝前は×、起床後は○。
・就寝4時間前よりカフェイン、アルコールは禁止。就寝前に重い食事やたばこも禁止。
・夕食前後の軽い運動とその後ぬるめのお湯に入浴する。
・日中はなるべく活動的に過ごし、昼夜のメリハリをつけること。昼寝は禁止。

睡眠薬治療のターゲット

不眠症の患者さんでは入眠までの時間を要し(入眠潜時の延長)、中途覚醒数・時間の増加、早朝覚醒により総睡眠時間が短縮しています。また、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の出現量は低下し、睡眠は浅く分断化した結果、通常は約90分周期で現われるレム睡眠の出現量も減少します。

このように、不眠症の患者さんでは、睡眠の長さと深さとリズムが損なわれた結果、翌日の不調感やパフォーマンスの低下を来たした状態にあります。睡眠薬治療のターゲットは、ずばり、夜間睡眠の長さと深さとリズムを取り戻し、翌日、頭はすっきりし、活き活きと過ごせる日中のパフォーマンスを回復することにあります。

[参考]
厚⽣労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使⽤及び減量・中⽌のための診療ガイドラインに関する研究班」および⽇本睡眠学会・睡眠薬使⽤ガイドライン作成ワーキンググループ 編 『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン』
http://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf

Photo by Vic

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