あなたの身体を蝕むサイレント・キラー「睡眠時無呼吸症候群」とは? 日中に眠気のある人は要注意!

Medical 2015年10月28日(水)

あなたの身体を蝕むサイレント・キラー「睡眠時無呼吸症候群」とは? 日中に眠気のある人は要注意!

睡眠時無呼吸症候群

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠や体内時計の専門家に様々なお話を伺います。今回は、日本睡眠学会理事・睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長の井上雄一先生に、重大な睡眠障害の一つ、睡眠時無呼吸症候群の症状について教えていただきました。

Q 睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)とはどのようなものでしょうか。

A 睡眠中の筋肉が緩んでいるときに舌などがのどに落ち込み、繰り返し気道をふさいで呼吸を停止させてしまうものです。呼吸停止が何度も起こると神経系や循環器への負担がかかり、糖尿病やメタボリック症候群、不整脈、虚血性心疾患、脳血管障害など全身の多系統に悪影響を及ぼしてしまいます。SASは知らず知らずのうちに全身の健康を蝕む“サイレント・キラー”と呼ばれる疾患の一つでもあります。

Q 恐ろしい病気ですね。自覚症状としてはどのようなものがあるのでしょうか。

A SASの多くは高血圧を引き起こしますし、そのほかにも日中の眠気、起床時の頭痛、寝汗、夜中におしっこが近い、眠りが浅いなどの自覚症状が認められます。このような症状がある人は、要注意です。ただし、SASは自分ではなかなか気づくことが出来ない病気でもあります。

自覚症状

Q SASをご自身で自覚されて病院にいく方はあまり多くないのでしょうか。

A そうですね。やはり、ご家族などが気づいて医療機関の受診を勧めるというパターンが多いですね。当院でも、本人は気が進まないけれど奥様に指摘されてしぶしぶ来院したという方がたくさんいらっしゃいますよ。

家族でなくても、夜勤などで一緒になった同僚が、仮眠中の無呼吸にたまたま気づいて当人に教えてあげるというケースもあります。逆に、就寝時に完全に一人になってしまう方は発見しづらいという問題がありますね。

Q ご家族や同僚の方は、どういった症状が出たときにSASを疑うべきなのでしょうか。

A 就寝時の常習的ないびきと呼吸停止の症状、これは就寝時の様子でわかります。SASの患者さんは、往復いびき(息を吸うときと吐くときの両方で音がする)が5~10年の長年にわたって続いている方が多いですね。

そのうち、寝ている間にカッカッカッカ…とのどがつかえたような状態になり、しばらく息が止まった後、ハーーッとあえぐように大きな呼吸をする。これが典型的な症状です。

Q 自分で発見する方法は全くないのでしょうか。

A スクリーニングのための質問項目などが開発されていますが、現状では本人が自己判断でSASを確実に発見できる方法はありません。ただし、“太っている”、“いびきをかく”、“高血圧、この3つに当てはまる場合は疑ってみてもよいでしょう。

Q 肥満傾向にある方は、SASになりやすいのですか。

A 肥満の方は舌やあごも太りますから、SASの大きな原因になります。ただ、アメリカではSAS患者の9割が肥満であるのに対し、日本では6~7割です。アジア人は骨格上、低肥満でもSASになりやすいのです。

Q 「SASになりやすい骨格」とはどのようなものでしょうか。

A あごが小さい、または引っ込んでいるというものです。寝ているときの気道は上下にもつぶれますが、幅が狭いと左右にも容易につぶれます。小さなあごは後者の面でSASになりやすいと言えます。

また、あごを、皮下組織を収める入れ物と考えてみてください。あごが小さければ、皮下組織はのどにあふれて気道をふさいでしまいます。あごが大きくても皮下組織が多いと、やはり気道を防いでしまいます。

小さなあごの人、肥満の人は日本で増えてきていますから、患者さんも増えていると思います。ただ、骨格や体型からSASの可能性が高いかどうかを一般の方が見分けるのは難しいですね。

SASになりやすい骨格

Q 体型や骨格以外にもSASに注意が必要な条件はありますか?

A 高齢になると、低肥満でものどの筋肉の張りがなくなりつぶれやすくなるので注意が必要ですね。また、女性は男性に比べて気道が短いのでSASにはなりにくいのですが、閉経後はのどの筋肉の緊張を保持する力が弱くなり、SASにかかりやすくなります。

閉経前の患者さんの割合は同年代の男性患者の3分の1~4分の1程度ですが、閉経後になると、男性患者と女性患者は同数程度になります。

また若い女性がSASの場合、妊娠して太るとさらに悪化し、本人の体に影響があるだけでなく流産や胎児の低酸素脳症などのリスクも出てきてしまいますので注意が必要です。

Q 自分で気づきにくいだけで、SASは意外に身近な病気なのかもしれませんね。
A そうですね。知らず知らずのうちに全身の不調を引き起こし、やがては命に関わる重大な疾患にもつながりかねません。

専門の医療機関に行けばSASかどうかをきちんと診断できる検査機器も備わっていますし、さまざまな治療法も開発されています。家族や自分自身にSASの可能性があると気づいたら、早めの受診をおすすめします。

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