<ドクターズインタビュー>「単相性睡眠」と「多相性睡眠」をめぐって~ 年齢と共に変化する人の睡眠

Interview 2015年09月16日(水)

<ドクターズインタビュー>「単相性睡眠」と「多相性睡眠」をめぐって~ 年齢と共に変化する人の睡眠

「単相性睡眠」と「多相性睡眠」

多くの人は、「1日に1度、夜に寝て朝に起きる」という生活を送っています。これは睡眠時間帯(睡眠相)が1日に1回なので「単相性睡眠」と言われ、現代人の最もオーソドックスな睡眠のスタイルです。一方、睡眠相が1日に2回以上ある場合は「多相性睡眠」といいます。

ラットのような夜行性動物は日中に眠りますが、やはり多相性睡眠を示します。その理由は、無防備となる睡眠を1回の持続を短くするかわりに複数回に分けてとることは、自然界において他の動物に捕食されないという目的にかなっているからです。

1日に1度、夜に寝て朝に起きる

乳幼児と高齢者の眠り~その共通点とは?

新生児では、睡眠時間は成人よりもはるかに長い16-17時間で、しかも昼夜の区別がなく、3-4時間ごとに哺乳や排泄のために目覚めるという多相性睡眠がみられます。生後4か月になると、総睡眠時間は14-15時間とやや減少して、夜間の睡眠時間が長くなります。

4歳頃には、総睡眠時間は約11時間で、昼間睡眠は午後の短時間となり、10歳頃の学童期になると夜間睡眠時間は約10時間で昼間睡眠はみられなくなります。

一方、高齢者では、早寝早起きとなり、昼間睡眠をとる傾向がみられるようになることから、乳幼児の多相性睡眠へと逆戻りするようになります。

したがって、乳幼児と高齢者の眠りには、多相性睡眠という共通点があるわけです。

人類社会の発展とともに睡眠は単相性へ

私たち現代人の多くは、夜間にまとめて1回の睡眠をとるという考え方で暮らしています。実は、そのような暮らし方は、米国の歴史学 エカーチ教授によれば、産業革命の後から広まったようです。

産業革命は、昼間に効率よく働くことと、夜間に労働の疲れをとることという生活パターンを定着させていったわけです。同時に、社会の安全性の向上がそのような生活パターンを保障したのです。

では、それ以前はどうだったのでしょうか。人々は、食べ物を獲得する仕事に追われるとともに、動物に襲われるかもしれないという自然の脅威や、人間社会の集団の争い、犯罪行為などの治安の悪い環境などに晒された時代を過ごしてきました。

このような生活状況において、長時間の睡眠をまとめてとることは、命の存続そのものを危うくします。では、どうしていたのでしょうか。

たとえば、中世ヨーロッパでは、夜間2回に分けて(1-2時間の中途覚醒を挟んで)睡眠をとっていたといわれています。このような中途覚醒は、安全の確認だけでなく、信仰、子孫への文化伝承などの時間にあてられていたようです。

このように、人類は、産業革命以降に初めて単相性睡眠をとるようになったのです。

加齢とともにメラトニンの分泌が減少

加齢とともにメラトニンの分泌が減少

高齢になると、多相性睡眠の兆しが現れることに加えて、夜によく眠れず昼間にウトウトしてしまうようになり、睡眠覚醒リズムが崩れてしまうこともあります。

年齢によって変化するのは睡眠のとり方だけではありません。睡眠の質も低下しうるのです。深いノンレム睡眠の減少やレム睡眠が減少という睡眠の質の低下、あるいは、40歳代以降に始まるメラトニン分泌の減少や高齢者の体温のメリハリの減少によって、良い睡眠がとりにくくなる可能性もあります。

しかし、対策が無いわけではないのです。

自分の睡眠をよく見つめよう

健康的な睡眠をとるには、まず自分の睡眠がどう変化しているかを理解し、ライフスタイルを見直しながら睡眠の改善をはかることが大切です。

朝はしっかり光を浴びる、朝食をとる、日中の活動性を高めるなど、メリハリをつけた生活で体内時計を整えるように努めましょう。その先に、良い睡眠が待っています。

参考書籍:『ホルモンを活かせば、一生老化しない』根来秀行 ハーバード大学医学部客員教授 PHP研究所

参考サイト:日本心臓財団「眠りとは? 睡眠と循環器疾患

参考取材:旭川医科大学医学部 精神医学講座・千葉 茂 先生

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