<ドクターズインタビュー>不眠、中途覚醒、朝型への移行・・・。加齢による、体内時計の変化とは?

Interview 2015年09月14日(月)

<ドクターズインタビュー>不眠、中途覚醒、朝型への移行・・・。加齢による、体内時計の変化とは?

不眠、中途覚醒、朝型への移行

定年退職をした後に「なんだかあまり眠れなくなった」と感じている人は多いのではないでしょうか。高齢になると、夜間睡眠が短くなる、寝つきが悪くなる、途中で目が覚める、といった睡眠の変化が多くなります。

この睡眠の悩みを放置すると、本格的な不眠症に移行したり、さらにうつ病や生活習慣病などに発展してしまうこともあります。

この睡眠の変化は、仕事からリタイアしたことで日中の活動量が少なくなるなど、ライフスタイルの変化に起因することが少なくありません。また、加齢によって睡眠に関連する脳機能が変化してくることもあります。

睡眠に関連する脳機能が変化

高齢者ではぐっすり眠るのが難しくなる?

一晩の睡眠の質を脳波などで測定する検査方法を、睡眠ポリグラフィといいます。高齢者の一晩の睡眠ポリソノムグラフィを解析すると、若い健常成人と比較して、睡眠時間が短くなる、寝つきが悪くなる、夜間の覚醒が増える、眠りが浅くなる、などの特徴がみられます。

また、ノンレム睡眠では、キャップ(cyclic alternating pattern, CAP)と呼ばれる睡眠の不安定性を示す脳波所見が高齢者では若い健常成人と比べて増加していることから、高齢者の睡眠は若い健常成人よりも不安定であると考えられます。

睡眠薬は、こうした加齢による睡眠の変化を正常化する作用があると考えられています。

体内リズムの振幅やメラトニン分泌の影響も

体内時計は脳の「視交叉上核」の中にあり、睡眠に関するさまざまな指令を身体に出す役割を担っています。

体内時計は、概日リズム(サーカディアンリズム)、とくに体温リズム(人間は深部体温が下がることで入眠に向かう)や、睡眠ホルモンであるメラトニン分泌リズムなどを管理し、これらのリズムをうまく同調させて、良い睡眠をもたらしています。

しかし、高齢になると、この体内時計の司令塔としての能力が低下し、深部体温やメラトニンなどの概日リズム(サーカディアンリズム)のメリハリが失われるため、睡眠時間帯(睡眠相)が夜間だけ眠る単相性から2回以上眠る多相性へと変化してきます。また、睡眠相がやや前進してくるため、早寝・早起きとなります。

早寝・早起き

「歳のせい」と諦めずに、生活習慣でコントロールを

このように、高齢になると身体の変化によって、若いころのように簡単にぐっすり眠れるというわけにはいかなくなってきます。しかし、「歳には逆らえない」とがっかりしたり、眠れなくても仕方ないと諦めの気持ちを持ったりする必要はありません。

エイジングとともにメラトニン分泌量が低下するという指摘がある反面、高齢の不眠症患者に、光を照射する治療を行ったところ、メラトニンの分泌が増加し睡眠がよくなったという報告があります。

このように、身体の加齢性変化があっても、快眠に必要な「朝の光を浴びる」という方法が不眠症に効果的であることが示唆されているのです。

不眠で悩んでいる人は、まずは加齢による身体の変化を理解しつつ、健康的な睡眠をとるために必要なことを実践していきましょう。「昨日は眠れなかった」「早く目覚めてしまった」と神経質になりすぎてはいけません。

朝の光を浴びて、朝食をきちんととり、体内時計をリセットしてください。また、日中は心身の活動量を増やす習慣を身につけるようにしてください。それでも睡眠に関する悩みが解消されない場合は、早めに医師に相談しましょう。

参考:『日本臨牀』71巻10号 「睡眠の障害」千葉 茂(旭川医科大学精神医学講座)

【提供:武田薬品工業株式会社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

体内時計クイズ ~あなたはどのくらい知っている?~

寝酒はなぜよくないのでしょうか?

整えよう、体内時計。自然な眠りと朝の目覚め。体内時計.jp
ネムジム食堂