体内時計の乱れによる不眠と身体への影響

Medical 2015年05月20日(水)

体内時計の乱れによる不眠と身体への影響

体内時計の乱れ

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠の専門家である全国のドクターに、睡眠に関する様々なお話を伺います。今回は、時間医学の第1人者である東京女子医科大学東医療センター・時間医学老年総合内科の大塚邦明先生に、不眠がもたらす身体への影響について教えて頂きました。

Q 体内時計が乱れて不眠になることで、身体にどのような影響がありますか。

体内時計が乱れて不眠

A 様々な影響が現れます。不眠と体内時計は密接に関係しているんです。眠っている間に何をしているかというと、もちろん昼間動いていた脳を休息をとって休めるということがありますけど、むしろ翌日、十分活動するために夜の間にエネルギーを作るんです。そのための眠りでもあるんです。

それから、成長ホルモン分泌への影響もあります。成長ホルモンは子どものときだけ出ているわけではないんです。子どものときは成長のためですが、大人の場合は昼間に傷んだ皮膚、粘膜、身体の部分を修復するために出るんです。

ですから深い眠りをとらないと、女性であれば日焼けが治らないといった影響が出ます。例えば、夜の傷が朝起きたら治っている経験はありませんか。あれは成長ホルモンが出ているからなんです。

また、人間は夜の間に免疫系をすごく高めます。だから、眠ると病気は治る。風邪をひいたら眠くなるじゃないですか。あれは眠っている間に病気を治す免疫を高めるからです。

リンパ球が増える。白血球が増える。細胞性の免疫をすごく高める。夜の眠りというのは病気を治すために仕組まれているんです。

脳が活動を続けて、肉体が休息するレム睡眠という眠り方があります。私たちは起きている間にあまりにもたくさんの情報を得ます。その情報を覚えておこうか、捨て去ろうかと整理をするのがレム睡眠中なんです。

必要だと思う知識だけを箪笥の中にしまう。それ以外は捨てちゃう。そういう処理をする睡眠状態です。ですから赤ちゃんはずっとレム睡眠です。赤ん坊の脳にとっては新しい情報ばかりですからね。

睡眠は休息期であると同時に、身体を調える、あるいは情報を整理する活動期でもあるんです。眠っている間は無意識なので、ただ休息しているだけなんだろうと思うのは誤解です。

眠らないと、私たちの身体と心は、どんどん壊れてしまいます。

Q たとえば、体内時計が乱れて不眠になると、ガンにもなりやすいと聞きますが。

ガンにもなりやすい

A 体内時計が狂うとガンになりやすくて、ガンになった後の成長が大きいんです。時計遺伝子を増やすとガンは小さくなる。何故そんなことが起きるか。それは、細胞分裂ってありますね。24時間周期、48時間周期でDNAが分裂していきます。

分裂する周期の時間を設定しているのが時計遺伝子なんです。たとえば紫外線があたってガン化しないように、紫外線が出る日中にはDNAは分裂しないように体内時計で設定されています。

そういう細胞分裂サイクルを調節しているところの時計遺伝子が狂ってしまうと、その細胞はガンになりやすくなります。肝臓ガン、膵臓ガン、肺ガン、血液のガンもそうです。

体内時計が正常で、不眠になっていない私たちの身体では、時計遺伝子が1日のうちのいつにDNAの分裂を行うのかコントロールしているのでガンにならないんです。

ガンになった後、副腎皮質ホルモンとかリンパ球とか、そういうのが出てガン化を抑えるとか、ガン細胞が増えるのを抑えるという働きをしています。体内時計が乱れると、副腎皮質ホルモンが減る。

あるいはリンパ球が減るというふうにガンを抑制している免疫系とか内分泌系を弱体化させてしまうことが分かっています。

私たちの身体は眠っている間に、免疫系が活性化します。免疫系がきちんと働いていると、ガン細胞を攻撃して消してくれます。ガン細胞ができてもきちんと攻撃できないので、ガン細胞をのさばらせてしまうことにつながります。

Q 糖尿病も体内時計が乱れると、発症しやすく悪化しやすいと聞きましたが。

発症しやすく悪化しやすい

A 食事に限らず、光とかいろんな外界からの刺激が働きかけて、膵臓の時計細胞を壊してしまう。膵臓の時計細胞が壊れると糖尿病になるように末梢体内時計が働きかけるようです。

糖尿病そのもののインスリン代謝のところに影響してくるようです。ですから、2型糖尿病を発症しやすくなります。

これまで体内時計の乱れと糖尿病との関係については、ヒトでは分からないとされてきましたが、最近ヒトでそれが証明されました。米国の疫学調査で平均年齢70歳ぐらいだったでしょうか。

15年間ぐらい追跡調査をしているんです。そうすると、寝つきが悪い人、よく眠れなかったと答えた人が疾病にかかりやすい。寿命も短くなるという結果でした。

私たちも北海道のある町の追跡調査を6年ぐらいやったんです。「よく眠れますか?」という単純な質問ですが「いえ、十分眠れません」と答えた方が5人に1人でした。

さらに追跡調査すると、眠れないという人たちが病気になりやすいという結果でした。脳卒中、心筋梗塞、高血圧など病気は様々でした。

これまでは食事や運動の不摂生という生活習慣が病気のリスクだと考えられてきましたが、不眠、そして体内時計の乱れもまた生活習慣であり、病気を引き起こす原因だといえるわけです。

第1回 体内時計の発見は1972年。体内時計発見の経緯と時計遺伝子
第2回 私達の心と身体の健康を支える“3つの時計”とは
第3回 なぜ体内時計が乱れると不眠が起こるのか
第5回 体内時計の乱れを防ぐ、朝の過ごし方とは
第6回 夜型の人は、朝型に変われるのか?
第7回 体内時計を考慮して病気をとらえる『時間医学とは』
第8回 体内時計を知ると、医療と生活が変わる?

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【提供:武田薬品工業株式会社

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