体内時計の発見は1972年。体内時計発見の経緯と時計遺伝子

Medical 2015年05月13日(水)

体内時計の発見は1972年。体内時計発見の経緯と時計遺伝子

体内時計発見の経緯と時計遺伝子

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠の専門家である全国のドクターに、睡眠に関する様々なお話を伺います。今回は時間医学の第1人者である東京女子医科大学東医療センター・時間医学老年総合内科の大塚邦明先生に、体内時計発見の経緯と時計遺伝子について教えて頂きました。

Q 体内時計の発見はいつだったのですか。

A 1972年のことです。アメリカで、体温の上昇と下降や、血圧の高低や、脈拍の速さなど、そういう24時間のリズムを作っているのは体内時計だということが分かったんです。

ネズミを用いた実験をしたところ、脳の視床下部、視交叉上核という神経核、神経細胞を壊すと、24時間のリズムがなくなってしまい、食事も不規則に食べ始めました。ところが、ネズミの胎児から脳の視床下部、視交叉上核という神経核、神経細胞を取り出して、体内時計を壊したネズミに移植すると、壊れた時計は復活して24時間のリズムを取り戻しました。

この実験により、脳の視床下部、視交叉上核には体内時計が存在して、生き物の24時間のリズムを刻んでいることが分かりました。

Q 人間でも、体内時計の24時間のリズムは確かめられたんですか。

A 体内時計が発見された1972年に前後してホルター心電図が開発されました。心電図を24時間のリズムで診る。そうすると、脈波は夜少なくなり昼間は高くなるという非常にきれいなコサイン曲線が出る。血圧も同じですけどね。

どうやらヒトにも24時間を刻む体内時計があるらしいと研究は盛んになりました。遅からずヒトにも同じように視床下部の視交叉上核が体内時計であることが証明されました。

ヒトにも体内時計があると分かった時に脳の視床下部、視交叉上核の細胞群がどのようなことをしているのかに関心が集まりました。

例えば、グレープフルーツの香りを朝嗅ぐと血圧が上がって脂肪が燃えて身体が温かくなる。ラベンダーの香りは夜嗅ぐと心が静まって眠くなる。それを逆にすると効果がない。

しかもその効果は体内時計を壊すと消える。ということから体内時計と自律神経、あるいは体内時計とホルモン、体内時計と免疫系には密接な関係があることが解明されていきました。

自律神経やホルモン分泌、免疫系など、私たちの身体を動かし、また守る機能は、体内時計に支配されていることが分かってきたんです。

Q 時計遺伝子はいつ発見されたのでしょうか。

時計遺伝子はいつ発見されたのでしょうか

A 1997年、体内時計の発見からちょうど25年後に時計遺伝子は発見されました。脳の視床下部、さらにその中の視交叉上核という体内時計のどこにある細胞が時計遺伝子を持って時を刻んでいるだろう。それを確認しようと、実験が始まりました。

驚いたことに時計遺伝子は視床下部、視交叉上核にはもちろんあったのですが、そこだけではなく、肝臓、心臓、腎臓、髪の毛、粘膜、角膜など、あらゆるところにあったのです。これはどうなっているのだろうと、世界中が驚きました。

Q それぞれの時計遺伝子はどのような役割を果たしているのですか。

A 脳にある時計遺伝子は「親時計」、末梢にある時計遺伝子は「子時計」と呼ばれています。親時計が指揮者の役割を果たし、身体中の様々な子時計は親時計の指令に従って動いているプレイヤーであると考えられるようになりました。

そして、コンサートマスターに相当するのが交感神経、副腎皮質ホルモンなどだと言われています。睡眠と覚醒というリズムもコンサートマスターと同じか、それに準ずるぐらいの重要な働きをしていることが分かりました。

Q 時計遺伝子は睡眠と密接に関わっているのですね。子時計は具体的にどんな役目を果たしているのでしょうか。

子時計は具体的にどんな役目を果たしているのでしょうか

A 子時計が発見されて世の中は大きく変わったんです。親時計の時計遺伝子を取り除くと24時間のリズムは消えます。じゃあ、子時計はどうなるんだろうという実験が世界各国で次から次に行われました。心臓の時計だけ壊すと、どうなったかというと、1週間も経たないうちに心臓が大きくなり、心臓が収縮しなくなりました。

つまり心不全になってしまったのです。研究者たちは驚きました。「時を刻んでいるだけじゃなかったのか」と、病気になってしまったということで驚いたんです。

その後、遺伝子操作で心臓の時計遺伝子だけを増やすということをやりました。そうすると、1週間も経たないうちに拡張型心筋症の心不全が治りました。「何だ、これは」ということになったんです。そして次に腎臓の時計細胞を壊すと腎不全になりました。

同様に、肝臓の時計遺伝子だけ取り除くと肝不全になりました。そのように抹消のそれぞれの子時計は健康に大事な役割を担っていたわけです。

第2回 私達の心と身体の健康を支える“3つの時計”とは
第3回 なぜ体内時計が乱れると不眠が起こるのか
第4回 体内時計の乱れによる不眠と身体への影響
第5回 体内時計の乱れを防ぐ、朝の過ごし方とは
第6回 夜型の人は、朝型に変われるのか?
第7回 体内時計を考慮して病気をとらえる『時間医学とは』
第8回 体内時計を知ると、医療と生活が変わる?

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【提供:武田薬品工業株式会社

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