<ドクターズインタビュー>体内時計のズレは遺伝するか?

Medical 2015年03月30日(月)

<ドクターズインタビュー>体内時計のズレは遺伝するか?

<ドクターズインタビュー>体内時計のズレは遺伝するか?

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠や体内時計の専門家に様々なお話を伺います。今回は、体内時計の専門家で、時間栄養学の第一人者である早稲田大学 先進理工学部 生理薬理学研究室 教授の柴田重信先生に、体内時計と遺伝の関連ついて教えて頂きました。

夜型は子どもに遺伝する!?

柴田重信先生 Q 夜型の生活を送っている親からは、夜型の体内時計を持った子どもが産まれやすいのでしょうか。 A 時計遺伝子に多くのSNPsが見つかっているので夜型の体内時計の遺伝子が、直接に、子どもにも遺伝することはあります。しかし、社会的な要因で夜型した場合はもちろん遺伝しません。ただし、遺伝子には直接は影響をしないのですが、遺伝子の発現に影響を与える要素があります。それをエピジェネティクスと呼びます。 先天的には同じ遺伝情報、つまり同じゲノム(DNA塩基配列)であっても、細胞レベルあるいは個体レベルの形質の現れ方が異なる例があります。夜型の体内時計を先天的に持っていても、それが発現しなければ、その子どもは夜型の体内時計の働きに支配されることはありません。 親からその子へという短いスパンではなくて、数世代、数十世代を超えて、とある遺伝子が発現することがあります。それがたまたま体内時計が夜型化するという遺伝として、現れることがあります。

遺伝よりも後天的影響の可能性が高い?

柴田重信先生 Q では、夜型の生活を送っていても子どもに夜型の体内時計が遺伝する可能性は低いのですか。 A 遺伝によって夜型化するのではなくて生まれてからの生活の送り方が夜型だと後天的に体内時計が夜型になってしまう可能性が高いのです。とくに夜でも光を浴び続ける生活が危険です。 日本人の大人の睡眠時間は7時間~8時間ですが、子どもはもっと長く睡眠しなければなりません。新生児は昼と夜の区別がなく、およそ18時間を眠って過ごします。1~3歳児でおよそ17時間は眠ります。4~6歳児で15時間です。7~8歳児で13時間は眠らなくてはなりません。 早く寝かしつけたとしても、寝室が親と一緒の部屋で、暗めに設定してあったとしても睡眠するには明るすぎる照明にさらされながら眠っているとしたら、体内時計は朝方化するチャンスがありません。赤ん坊から学童になるまでの生活習慣の方が、遺伝よりも、体内時計を夜型化してしまうのです。 Q 成長期に体内時計が夜型化していると、低体温症だったり情緒が不安定な状態だったり、キレやすくなったり、引きこもりになったりと問題が起こりやすいと聞いたのですが。 A それは体内時計だけの問題ではないと思われます。私たちの研究グループは、体内時計をメインに研究していますから、どうしても体内時計の乱れと子供たちの情緒との関連を推察しがちですが、夜に明るい光にさらされることは体内時計の乱れの他にも、あらゆる不都合を体や心に与えている可能性があります。 体内時計の調節は、光が目から入って脳の視交叉上核に光の刺激が届いて、覚醒のスイッチが入ります。夜に、光の刺激が目から入って脳に到達する場合に、たとえば視覚領域に影響があって、脳の他のところで不都合な結果を招いていることは考えられます。

先天的な体内時計のズレは遺伝する可能性がある?

柴田重信先生 Q 体内時計がズレやすい性質は遺伝しないのでしょうか。 A もともと親がジェネティックの場合は、体内時計のズレやすさが遺伝する可能性はあります。ジェネティックとは、先天的にDNA配列がズレている人ですね。遺伝子の構造は同一ながら、発現する遺伝子は別々のところを使うというのはエピジェネティックは1代限りです。 ところが最新の研究では、1代限りとはいい切れなくて、2~3代は続くのではないかという研究があります。生殖細胞にも影響はあるのではないかという研究です。確定的にいえるのは女性の遺伝子が子どもには伝えられやすいです。X染色体は強く影響を受けやすいですね。女性はエピジェネティックの影響を受けやすいんですよ。 Q 夜型の生活をしているお母さんから生まれる娘さんは夜型になるかもしれないのですか。 A お母さんやおばあちゃんが、その娘さんを育てるときに、夜中に連れ回していたら、まず後天的に夜型になり、その娘さんがお母さんになって出産したときに生まれた子どもが、先天的に夜型の体内時計を持って生まれてくる可能性は高くなるということです。

夜型を遺伝させない努力が重要

Q いずれにしても、子ども時代の生活習慣が重要ということですね。 A 後天的に夜型になってしまうと、負の連鎖のきっかけになりやすいということです。我が子や我が孫を、夜型の体内時計の持ち主にしたくないのであれば、自分の世代で、自分の体内時計を朝型にしておく努力をしておいた方が良いということです。 夜型の体内時計を持って生まれてきたとしても、日常の生活を朝型に変えるように心がけて生活をすると、夜型の体内時計は朝型にシフトします。 そのためには、朝に起床したら、外光を浴びることと、朝食をしっかりと食べることが、体内時計の改善には大いに役に立ちます。先天的な要素よりも、後天的な生活の送り方からの影響を体内時計は受けやすいのです。自分の遺伝子のせいにしないで、ましてや親のせいにしないで、自分から生活を改善して、朝型の生活を送るようにしましょう。 Photo by Steve Jurvetson その他のドクターズインタビュー記事はこちら

【提供:武田薬品工業株式会社

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