<ドクターズインタビュー>睡眠改善によるパフォーマンス向上の秘訣とは

Interview 2014年12月28日(日)

<ドクターズインタビュー>睡眠改善によるパフォーマンス向上の秘訣とは

睡眠改善によるパフォーマンス向上

内村 直尚(うちむら なおひさ)先生
久留米大学医学部 神経精神科医学講座 教授

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠の専門家である全国のドクターに、睡眠に関する様々なお話を伺います。今回は、昼寝推奨の第一人者である久留米大学医学部神経精神科医学講座教授の内村直尚先生に、睡眠のコントロール法について教えて頂きました。

内村 直尚(うちむら なおひさ)先生

スポーツ界では睡眠のコントロールは当たり前!

Q スポーツの世界では睡眠をコントロールするらしいですね。

A 脳と身体が活発に活動できる状態になるには、起床から3時間程度かかります。どんなに優れたアスリートでも、起きてすぐに実力をフルに発揮しろといわれても無理です。

Q 具体例を挙げていただけますか。

A 水泳の北島康介選手は、オリンピック決勝戦の開始時刻に合わせて合宿していました。睡眠コーチという専属のコーチをつけて起床、就寝時刻を管理していました。

アメリカのコロラドでの合宿練習は、北京の朝の時刻に合わせて起床していました。水泳の練習は起床から3時間後に集中的に行うんです。スポーツ界では、脳と身体のリズムを乱さないことが実力を発揮するには欠かせないという認識は常識になっています。

時差ボケが勝敗を分ける!?

Q 時差ぼけを生じないように睡眠を管理して試合にのぞむわけですね。

A その時差ぼけが典型的に試合に影響したと思われるケースがあります。サッカーの国際試合です。日本で数年前にトヨタカップが開催されました。

南アメリカの代表チームと、ヨーロッパの代表チームが日本で戦ったのです。実力的にはヨーロッパのチームが有利だと思われていたのに、南アメリカの代表チームが勝利しました。考えられる敗因は2つあります。

Q 敗因は何だったのでしょうか?

A 1つ目の理由は、時差ぼけです。南アメリカの代表チームは西側への移動です。いっぽうのヨーロッパの代表チームは、東側に移動するから、時差ぼけが強く出てしまう。

2つめの理由は、南アメリカの代表チームは余裕のある日程で日本に来たんです。日本で練習をするとなると、試合開始時刻に合わせた起床と就寝で脳と身体のリズムを修正できるわけです。

日本の朝に合わせて起床して、睡眠と覚醒のリズムを整えたわけです。しかしヨーロッパの代表チームが日本にやって来たのは、試合の直前だったんです。時差ぼけの影響が強く残っている状態では、持っている実力を発揮できないんですね。

Q ヨーロッパでは睡眠と覚醒のリズムに対する認識が甘いのでしょうか。

A いいえ、コンディショニングの重要性は理解していてもその時のチーム事情等で調整が難しいケースもあると思います。

当時の南アメリカの代表チームがきちんと調整できていたが、ヨーロッパの代表チームは調整し切れなかったと考えるほうが自然です。ヨーロッパでも睡眠を管理して試合に勝った例があります。

やはり日本で行われたサッカーの試合ですが、マンチェスターユナイテッドにクリスチアーノ・ロナウドとルーニーが所属していた頃のエピソードを紹介します。

このときには睡眠コーチをつけて、決勝戦に合わせて、1週間前から選手たちの睡眠と起床の時刻を管理して、その決勝戦に勝ちました。

超一流の選手でも、睡眠と覚醒のリズムが乱れたら負けてしまう。身体能力や技術と同じくらいに、睡眠と覚醒のリズムを制する者は、試合を制するということです。

睡眠コントロールで、仕事のパフォーマンス向上

A スポーツの世界での睡眠と覚醒のリズムのコントロールは、学生や社会人の生活にもあてはめることができそうですね。

Q その通りです。勉強でも、仕事でも、起きてすぐにスタートダッシュしろといわれても無理でしょう。起きてから3時間後ぐらいに、人間の能力はフルに活動できるようになっています。

勉強でも、仕事でも、スポーツの試合でも、スタートを切らなければならない時刻の3時間前には起きて活動を始めるという習慣をつけておくと、自分の能力をフルに発揮できるはずです。生活に応用していただきたいですね。

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