<ドクターズインタビュー>不眠が起きる3つの理由とは

Medical 2014年12月27日(土)

<ドクターズインタビュー>不眠が起きる3つの理由とは

不眠が起きる原因

内村 直尚(うちむら なおひさ)先生
久留米大学医学部 神経精神科医学講座 教授

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠の専門家である全国のドクターに、睡眠に関する様々なお話を伺います。今回は、久留米大学医学部神経精神科医学講座教授の内村直尚先生に、不眠の原因と治療法について教えて頂きました。

内村 直尚(うちむら なおひさ)先生

不眠が起きる理由は3つ

Q 不眠はどうして起きるのでしょうか。

A 不眠が起きる理由は3つあります。1つめは、「脳の過覚醒」、交感神経が優位に立つ状態が続くことです。心配事があるとか、眠ることに不安を抱くとか様々です。

眠れなかったらどうしようとか、早く寝なければいけないとか、明日はゴルフだから早く寝ようなどと考えることによって、脳が「不安」「緊張」「抑うつ」の状態になります。こうなると脳は過覚醒を続けてしまうので、不眠になってしまいます。

Q 2つめの理由は何ですか。

A 2つめは、「睡眠覚醒リズムの乱れ」です。不規則な生活を送っていたり、昼夜逆転の生活をしていたり、交代勤務で働いていたり、あとは時差ぼけなどで、睡眠のリズムが乱れてしまった場合ですね。体内時計が正常に機能しなくなったときです。

Q 3つめはどういう理由でしょうか。

A 3つめは「生活習慣の乱れ」です。お昼寝のし過ぎなどです。お年寄りに多いのですが、昼間にずーっと横になってウトウトしていると、日中の活動が低下します。

恒常性維持機能といって、起きて活動している時間が長ければ長いほど、体内に睡眠物質が溜まってきて、夜に眠ることができるようになるのです。

誰でも経験があると思いますが、徹夜をすると眠くなるのは、恒常性維持機能によって睡眠物質が溜まるからです。午後から長く横になってウトウトすると、恒常性維持機能が阻害されて、睡眠物質が溜まりきらない。そして眠れない。

「恒常性維持機能」、「メラトニン」、「副交感神経」が大事

Q なるほど日中に活発に活動して、夜はぐっすりと眠る。リズムが大切なんですね。

A なぜ人間は眠れるのかというと、恒常性維持機能によって長く起きていればいるほど、脳内に睡眠物質が溜まってきて眠くなるのが1つと、もう1つは、朝の光を浴びることで、体内に作られたセロトニンという心を落ち着かせて、なおかつ活発な活動ができるようにする物質が日中に脳内で働く、また、夜になるとメラトニンの分泌が高まり、眠りに誘うように働く。

この恒常性維持機能と、メラトニンが関与する睡眠覚醒リズムの2つによって、眠れるわけです。それと脳の沈静化というかクールダウンですね。つまり副交感神経が優位になることによって眠れる。この3つのうちの、どれか1つでも乱れると、眠れなくなるわけです。

内村先生の考える不眠治療とは?

Q 内村先生は、どのようにして不眠になってしまった人を治療するのでしょうか。

A いま挙げた3つの身体のメカニズムを狂わせていないか。たいていは、不規則な生活や、お昼寝のし過ぎなどがあるのですが、そうした生活の仕方を改善するようにお話をします。そして睡眠薬を処方します。

睡眠薬の処方だけに偏らないようにしています。何よりも、まずは生活習慣を正すことが大事です。体内時計が正しくリズムを刻んで、夜には自然な眠りにつけるようになることをめざしています。

明るい夜がメラトニンの分泌を妨げる

Q 現代は夜間でも電灯の照明などによって明るい夜が続くことになりました。暗くなると分泌される睡眠のホルモンであるメラトニンを抑制してしまうことは多いですか。

A メラトニンが分泌されないと、人間は眠れません。夜に明るい光を受けると、メラトニンが抑制されてしまう。あるいは、朝に起きてから16時間経過しないうちに布団に入ってしまうのも、メラトニンがまだ充分に分泌されないうちに、眠ろうとする行為で、無理があります。

睡眠覚醒リズムは、ある程度、メラトニンリズムと相関しています。睡眠覚醒リズムとは、眠る脳(大脳)と眠らせる脳(脳幹)の間の連係プレーです。脳幹の眠らせる神経が働くと、大脳は眠ります。

視床下部の体内時計が睡眠覚醒リズムを調整しています。そこにメラトニンが分泌されて、眠れるようになります。メラトニンの分泌リズムが乱れると、睡眠覚醒リズムも乱れていきます。遅寝、遅起きになってしまうと、睡眠覚醒リズムは遅れて発動するようになります。

メラトニンが分泌されていても、寝たい時刻に眠れなくなってきます。夜になっているのに光を浴び続けることでも、メラトニンの分泌が抑制されてしまい、眠りにつくことができなくなります。メラトニンリズムが不調になると、睡眠覚醒リズムも引っ張られるように不調になります。

Q メラトニンは夜に光を浴び続けると、分泌されなくなって、眠れなくなるんですね。

A LEDの照明、パソコンの画面、携帯やスマホの光など、特に青色の光が、せっかく分泌されてきたメラトニンを出なくしてしまうんです。これも生活習慣の改善の指導で、患者さんに注意をしています。

不眠症の治療期間はどのくらい?

Q 初診からどれくらいで、不眠症は治っていくのでしょうか。

A 2~3ヶ月で、改善していきますよ。そうしたら、睡眠薬の量を徐々に減らしていきます。そして睡眠薬を飲まなくても、生活の改善によって、眠れるようにと治療を続けていきます。

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