<ドクターズインタビュー> 都市部で不眠が多い理由とは

Interview 2014年10月22日(水)

<ドクターズインタビュー> 都市部で不眠が多い理由とは

夜の都市部

伊藤 洋 (いとうひろし) 先生
日本睡眠学会理事長/東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 院長

ドクターズインタビューのコーナーでは、睡眠の専門家である全国のドクターに、睡眠に関する様々なお話を伺います。今回は、日本睡眠学会理事長/東京慈恵会医科大学葛飾医療センター院長の伊藤 洋先生に、生活環境と睡眠の関係について教えて頂きました。

第4回 都市部の光が睡眠にもたらす影響

Q 都市部と地方では、睡眠障害になる人の比率が異なるそうですね。

A 都市生活を送っている人の方が、不眠症にかかりやすい傾向にあります。

Q それはどうしてですか。

A メラトニンの分泌に関係があると思われます。人工の照明に照らされて、街も室内も煌々と明るいのが都市部の環境です。夜になっても明るい環境のもとで生活をしているために、体内時計が不調をきたしてしまい、メラトニンの分泌も妨げられている可能性があります。

Q 明るい光がある環境では、メラトニンの分泌が抑えられてしまうということですか。

A そうです。コンビニエンスストアの照明は5000ルクスほどあるそうですね。生体のメラトニン分泌を抑制してしまう明るさです。都市生活を送る人にとっては、そこまで明るくしないと、コンビニエンスストアに立ち寄らないと聞いたことがあります。つまり都市の生活は、眠りをもたらしてくれる生活環境ではなく、覚醒を続けるようにセッティングされた環境にあるといえそうです。

Q たしかに東京や大阪などの都市部は夜中に歩いている人をたくさん見かけますね。地方に行くと、夜道を歩いていて、他人とすれ違うことはまれですね。

A 地方に暮らすと、夜の闇がきちんと存在します。人工的な明るさにさらされ続けることが少ないために、夜になるとメラトニンがきちんと分泌されて、自然と眠くなる生活環境にあるといえるでしょう。

伊藤 洋先生

Q 眠らない街なのではなく、眠れない街に暮らしているわけですね、そんな都市部に暮らす人たちが、きちんと眠れるようにするには、どうしたら良いのでしょうか。

A 都市で生活を送る人は、夜になったら、就寝前には部屋の照明を暗くして、眠くなったら寝室に移動して、やはり寝室も暗くしておく。布団に入りながら、テレビを見続けるなどはメラトニンの分泌を妨げますから、良い習慣とはいえません。眠る前に、布団の中で、スマホを操作し続けるのも光の影響で、メラトニンの分泌を低下させてしまいます。室外から入り込む人工の照明をカーテンなどで遮って、暗い寝室で眠りに入ると良いでしょう。

Q 人工的な明るさには人工的に暗い環境を作って、メラトニンの分泌を促すことで眠りにつくということですね。

A そうですね。大切なのは、朝に目覚めたら、暗くしていた室内を明るくすることです。電灯の照明で明るくするよりも、カーテンを開くなどして、外光をたっぷりと浴びることをお勧めします。メラトニンの分泌が抑えられて、しっかりと眠気が払拭されるだけではなく、体内時計がリセットされます。朝に体内時計がリセットされることで、その日の夜のメラトニンの分泌がスムースに行われるようになります。
快眠は、夜の工夫にあるというよりも、朝の目覚めのときにこそ、快眠のための準備は始まっているということを、覚えておいてほしいですね。

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日本睡眠学会理事長/東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 院長
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第1回 睡眠の専門家に聞く、あなたの理想の睡眠時間>>
第2回 分割睡眠は、都市伝説だった。ホルモン分泌を促す睡眠法とは?>>
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Photo by Luke Ma

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